
シグナル系(矢印)のFX教材を使いたいと考えた時に、一番気になるのが「シグナルだけでどのくらいのパフォーマンス(勝率)が出るのか?」ということではないだろうか。EAの自動売買やインジケータしかり、シグナル系の教材は人気があって、多くの人が一度は手にした事があるだろう。
なぜなら、シグナル教材というのは、FXの裁量無しで、皆が同じようにトレードできるというメリットがあるためだ。
実際にインフォトップなどに売られているFXのシグナル教材は、“勝率80〜90%”がデフォルトという状態になっている。中には、勝率99%以上というものまで存在する。果たして、この数字のパフォーマンスというのは、本当に出るものなのか?誇張しているのではないのか?気になる所だろう。
そこで今回は、FXのシグナル教材人気NO.1といっても過言ではない、『ドラゴン・ストラテジーFX』(ドラストFX)を裁量無しで、勝率検証をしていく。これからドラストFXを買おうとしている方や、シグナル教材を試してみたいと思っていて、パフォーマンスが気になっている方は参考にしてほしい。もし、ドラストFXを買う前に無料で試してみたい場合は、『【お試し】ドラゴン・ストラテジーFXを14日間無料で使う方法』を参考にして欲しい。
14日間という期間限定だが、実際のトレードが体験できる。
今回のドラストFXの勝率検証は日数が少ないので、正確な数字にならないのを先に言っておこう。本気でシグナルトレードをしていこうと考えたら『MT4裁量トレード練習君プレミアム』などの検証ソフトを使って、繰り返し検証するなどの手順が必要になる。今回はあくまで、ざっくりとした目安として捉えてほしい。
1.ドラストFXの勝率検証ルール
まずはじめに、ドラストFXの勝率を検証するにあたり、明確なルールを決めていこう。下記手順の決めたルールに沿って勝率検証をしていく事にする。今回は、MT4の過去チャートを遡ってシグナルトレードをしていく事とする。絶対条件として「無裁量で尚且つ、ドラストFXの基本トレードルール」というのは外せない条件になってくる。
ファンダメンタルズなどの事も踏まえ、通貨ペアは推奨のものを使い、日にちはランダムで選んでいこう。
以下に詳しく条件を設定した。
裁量無し矢印に従いトレード検証
ドラストFXは、シグナル系のFX教材なので、全て矢印に従いトレードをしていく。
- 緑矢印(買い)
- 赤矢印(売り)
この繰り返しとなるシンプルなトレード方法だ。
ほとんど出現しないが、ロング(ショート)両方の矢印が出て、エントリーの条件が重なるタイミングがある。その場合は、両建てをして、2つのポジションを持つ事とする。なるべく公式トレードと同じ状況でやりたいので、チャートもよけいなことをせず、デフォルトのまま使っていく。
エントリーの方法は、矢印が点灯した後の成行のみとしよう。
5分足チャート(マルチタイム無し)
ドラストFXのトレードは単一の時間足で完結するようになっている。そのため、使用する時間足は5分足限定で、マルチタイム分析などはせずに検証をしていく。
ドラゴンバンド内で利確
利益確定のタイミングは「ローソク足がドラゴンバンド内に平均足(実体)が戻ってきたポイント」となる。
RR(=リスクリワード)も、その都度変えていく事とする。
勝率だけを検証するのであれば、リスクリワード1:1(利益・損失)以上になった時に、全決済にしてもいいのだが、ドラストFXの基本スタイルが、損小利大のスタイルなので、トータルのパフォーマンスを見るために「ドラゴンバンド内に平均足が戻ってくる決済方法」をメインの決済としよう。ドラストFXのドラゴンバンドのインジケータは、ボリンジャーバンドとイメージをすると分かり易いだろう。
基本トレードについては、後述する。
ストップは高値(安値)
ストップは、直近の高値(安値)の上下に設置していく。
ドラストFXの公式ページでは、ストップの目安として−20pips前後が損切の目安となっているが、私の感覚だと−30~40pips前後というのが、現実的な数字のように感じる。
なぜなら、トレードの基本が成行エントリーなので、この位ストップが広くなってしまうのは、当然のことになってしまうからだ。勿論、通貨ペアによってはこれ以上大きくも小さくもなってくる。
ドラストFX推奨の5つの通貨
ドラストFXで推奨されている、通貨ペアはこれらだ。
- (EUSUSD)
- (GBPUSD)
- (USDJPY)
- (EURJPY)
- (GBPJPY)
ドラゴン・ストラテジーFXでは、5つの通貨ペアを推奨しています。ユーロドル、ポンドドル、ドル円、ユーロ円、ポンド円です。たくさんの通貨ペアでのご利用が可能となっていますので、様々な時間帯でのトレードも可能となっております。あなたのライフスタイルにあわせてご利用ください。(もちろん世界中を旅しながら、利益を生みだすことも可能です。)
これらの通貨ペアだとクロス円が多いので動きが似てしまうと思ったが、日にちをランダムで変えていくので問題無しとしよう。何より、公式で推奨されている通貨ペアを使うことで、リアルな数字が出ると考えている。
ただしこれらは、ドラストFXが推奨している通貨ペアであって、FXのトレードにおいては、どの通貨ペアでも、特別なマイナー通貨を使わない限り、大きくパフォーマンスが変わることはほぼ無いと言える。
各通貨ペア1週間
検証日数は、各通貨ペア1週間とする。
さらに、MT4に付属してある『Strategy Tester』などは使わずに、チャートを左にスクロールするだけの簡素なものとする。
本当であれば、少なすぎて参考にもならない日数だが、ドラストFXが5分足に特化しているシグナル教材なので、エントリー回数が多く、おおよそのパフォーマンスが調べられるはずだ。
例えばこれが、1時間足のトレード方法になると、月〜年の検証が必要になる。
それと、ピラミッティング(ポジション増し)もがんがんやっていく事とする。通常のトレードだと一度ポジションを持ったら、それがストップ(リミット)にかかるまで次のポジションを持たないが、今回は何個でも持って、それぞれのリスクリワードも変えていく事とする。
自己判断はせず、機械的なトレード検証となるのが1番現実的な数字になるだろう。
2.ドラストFXの基本的なトレード
検証ルールを決めたので、次にドラストFXの基本トレード方法を解説していこう。ドラストFXは、FX初心者の方にでも簡単にトレードが出来るように設計されており、ルールもすぐに覚えられるし、迷うことも無いと言える。
この敷居の低さが、シグナル教材の1番のメリットと言って良いだろう。
ドラストFXの詳しいトレード方法は『世界中を自由に旅するドラストFXレビュー』も参考にして頂きたい。さらに、ドラストFX公式動画を見ると、イメージがしやすいので先に見ておくと良いだろう。
(1)ドラストFXのエントリー方法
はじめに、ドラストFXの基本エントリー条件を解説していく。
エントリーは、ロング(ショート)共に同じで、「大きな矢印が出た後の、小さな矢印」が出現したタイミングでエントリーをしていく。たまに、両方同時のタイミングで出ることがあるが、そのポイントは勢いがあり、ドラストFXのエントリー条件となるので、トレードをしていく。
大きな矢印単体では、エントリーが出来ない。
それと、全ての矢印で入るのではなく、ドラゴンバンドに平均足がタッチした後の、矢印だけでエントリーをしていく事とする。
チャート上の小さな左矢印は、ドラゴンバンドに平均足がタッチしていないので、ショートの戻りだとしても安値掴みになることが多く、公式サイトでもこの時のエントリーは推奨されていない。なので必ずドラゴンバンドに平均足がタッチしているか確認をしてからエントリーをしていく。
今回のチャートだと、2回トレードをしている計算になる。
(2)ドラストFXの損切りを置く位置
損切り位置は、直近の高値(安値)になっている。
直近の高値(安値)に損切を入れる事でストップを狭めるようになっている。最低でもリスクリワードを(1:1)以上のトレードにするので、エントリー後すぐに平均足がドラゴンバンドに戻ってきたとしても、決済はせずポジションを持ち続ける。
なぜならすぐに決済をしてしまうと、リスクリワードが(0.5:1)というバランスになりかねないからだ。損小利大ならいいが、損失の方が大きいトレードはすべきではないので、こういったルールを設けさせてもらった。
(3)ドラストFXの利確タイミング
ドラストFXで利益確するタイミングは、2パターンある。
- ドラゴンバンド内に平均足の実体が戻った時
- ドラゴンバンド外に平均足が出た後に、ドラゴンメーターの勢いが弱まった時
ドラゴンメーターの強弱はリアルタイムでしか使えないので、決済タイミングは、ドラゴンバンドに平均足が戻って来たタイミングとなる。
3.ドラストFXの1週間分の検証結果
早速だが、これらが1週間分の検証結果になった。
通貨ペア | EN回数 | 勝 | 負 | 勝率 | 獲得pips |
(EURUSD) | 9回 | 6回 | 3回 | 66% | +50.8pips |
(GBPUSD) | 14回 | 10回 | 4回 | 72% | +103.8pips |
(USDJPY) | 5回 | 3回 | 2回 | 60% | +34.2pips |
(EURJPY) | 4回 | 2回 | 2回 | 50% | +11.1pips |
(GBPJPY) | 7回 | 4回 | 3回 | 57% | +43.3pips |
(EURUSD)
- トレード回数9回
- リミット6
- ストップ3
- 勝率66%
- +16.1pips
- +7pips
- +11.2pips
- +25.9pips
- +9.7pips
- +12.4pips
- -9.1pips
- -14.1pips
- -8.3pips
- 総獲得+50.8pips
(GBPUSD)
- トレード回数14回
- リミット10
- ストップ4
- 勝率72%
- +12.9pips
- +12.9pips
- +10pips
- +15.4pips
- +14.3pips
- -12.7pips
- +8.9pips
- +8.9pips
- +20.2pips
- +20.2pips
- -12.6pips
- -12.6pips
- -12.6pips
- 総獲得+103.8pips
(USDJPY)
- トレード回数5回
- リミット3
- ストップ2
- 勝率60%
- -17.4pips
- +36.9pips
- +12.6pips
- -11.5pips
- +13.6pips
- 総獲得+34.2pips
(EURJPY)
- トレード回数4回
- リミット2
- ストップ2
- 勝率50%
- -14.2pips
- +15.3pips
- +25.6pips
- -15.6pips
- 総獲得+11.1pips
(GBPJPY)
- トレード回数7回
- リミット4
- ストップ3
- 勝率57%
- -20.8pips
- -16.8pips
- +21.2pips
- +21.4pips
- -22pips
- +18pips
- +25.6pips
- +4.9pips
- 総獲得+43.3pips
4.検証を終えて6つの分析
今回の検証トレードの成績を終えて感じたのが、思ったよりもパフォーマンスが良かったという事だ。検証前は、トータルの勝率は20%前後を考えていて利益どころか全ての通貨ペアで損失になるだろうと思っていたからだ。
なので、驚いたというのが本音だ。だがしかし、実際に検証と同じようなトレードをして、このこのパフォーマンスは出ないだろうと言える。
その理由はいくつかある。
スプレッドを考慮せずストップが狭い
FXの売買をする時は、手数料としてスプレッドが掛かってくるのが一般的だ。
今回の検証では、スプレッドを”0”の状態でトレードしているので、シグナルが出た後に成行エントリーで入っても、全て最高のタイミングで売買出来ていることになる。
これが、実際のトレードと1番大きな差になってくる。
なぜなら通常であれば、シグナル後の成行でエントリーしていったら、中途半端な位置で約定してしまうからだ。当然、損切り幅は広くなるし、リスクリワードのバランスも悪くなってくる。成績も、半分以下位になるだろうと感じる。
つまり、連続でストップになるという事だ。
シグナルのタイミングが遅い
先ほどのスプレッドとも関係しているのだが、ドラストFXのシグナルの出るタイミングはかなり遅い。はっきり申し上げて、話にならないレベルと思って頂いた方が良いだろう。過去チャートを見るだけだと分かり辛いが、実際のシグナルのタイミングを見ていると大きく感じる。さらに矢印が出てから、自分のMT4にアラートが鳴るまでも若干のロスがある。
これは、かなりのストレスを感じてしまう。
本当であれば、ドラゴンバンドの端っこでポジションを持って、矢印が出ているポイントでは、既に利益になってくれていると嬉しい所だ。だがしかし、現実はそうもいかず、ドラゴンバンドの中央より下で、エントリーする事になるはずだ。
なぜこのような仕様になっているのかと言うと、ドラストFXの仕様が「トレンドに逆わらず流れに沿ったトレード」になっているからだ。
トレンド転換や逆張りを狙った場合、当然、レジサポ付近でエントリーをして、損切り幅はそれの上下に置くのがセオリーだ。しかしドラストFXでは、5分足チャートでトレンドが転換した後の、さらに、ある程度勢いが出てから矢印が出現するという仕組みになっている。
これでは、ドラゴンバンドの真ん中でエントリーするのも、致し方ないと言える。
FXを始めたばかりの初心者からすれば、簡単にトレンドフォローができる気がして、この仕様は最高に感じるかもしれないが、それはあくまで、全てのポジションで最高のタイミングで入れた場合を想定しているからだ。
実際はIFO注文でもしない限り、狙っている価格で約定することは不可能となる。
基本ルールで損小利大は不可
FXにおいて、損小利大のトレードを目指すのか。勝率重視にするのかの話は別として、ドラストFXのルール通りにやっても損小利大のスタイルにする事は、かなり難しくなってくる。一連の理由と関連するが、約定するタイミングが悪いという事は、それだけ不利な価格を摑まされてしまっているからだ。
エントリーしてから、ドラゴンバンドの外に平均足が出ていってくれればいいが、それ以外で戻って来ると、リスクリワード0.5:2(利益:損失)という数字になってしまう可能性も十分にあり得る。
これだと、トレードする分だけ損失になってしまう計算だ。
こういったリスクリワードの中で、どれだけトレード回数があろうと、トレードするだけ資金が減っていくのは、安易に想像出来るだろう。FXは、損小利大が全てでは無いが、少なくともリスクリワードがこれだけ悪いと資金が増えていくという実感は湧きずらくなってしまう。
ポジションの複数持ち
自己資金を使っていないので、ポジションを無限に持ったことも大きい。
ポジションを複数持つということは、利益が倍増すると思われるかもしれないが、それだけ損失も倍増するという事だ。これに耐えられる人は少ない。この1週間が利益になっただけで、その他の期間では、赤字だらけというのも十分にあり得る。
売買回数が多く優位性低め
ドラストFXのエントリー回数はもの凄く多い。
1つの通貨ペアだけを見ていたとしても、1日20回のチャンスがあるだろう。もちろん、これら全てに優位性があるわけでは無く、そのほとんどがフェイクになる。トレード回数というのは、その数が多いほど資金が増えるという事ではなく、エントリー回数を絞るからこそ、優位性というのが生まれ、勝率を上げていく事が可能になるのだ。
どのシグナルに優位性があって、どのポイントのシグナルが危険なのか分からない人にとっては、チャンスアラートに振り回されてしまう可能性がある。
平均足チャートが見辛い
ドラストFXのインジケータには「平均足」が使われている。
この平均足は、トレンドの継続を見る為の物で、この平均足の羅列を見れば、いつトレンドが反転しそうなのか?という事が判断しやすくなる。陽線が続いていれば上昇トレンド継続だし、陰線が続ければ、下降トレンドというように、視覚的に分かるからだ。
ただしその代わりに、チャートを縮小した時に、非常に見辛くなるという欠点がある。
いかがだろうか?バグったようになって、何がどうなっているのか分からない状態だ。私はドラストFXの教材を初めて見た時に、これはBO(バイナリーオプション)向けに作られた物ではないか?と思った程だ。バイナリーオプションなら、平均足の羅列でも使い方によっては、優位性のあるポジションを持てるからだ。
さらに、平均足の羅列を見てトレードをしていくという事は「チャートをずっと見続ける」という事になる。これはすなわち、損益をずっと睨めっこしている状態だ。こんなストレスがある状態では、冷静な判断が出来る人の方が少ない。
5.欠点を考慮したドラストFX勝率
上記のことを考慮し、実際の数字となる目安はこちらになる。
通貨ペア | EN回数 | 勝 | 負 | 勝率 | 獲得pips |
(EURUSD) | 9回 | 3回 | 6回 | 33% | -50.8pips |
(GBPUSD) | 14回 | 4回 | 10回 | 22% | -103.8pips |
(USDJPY) | 5回 | 2回 | 3回 | 47% | -34.2pips |
(EURJPY) | 4回 | 2回 | 2回 | 50% | +11.1pips |
(GBPJPY) | 7回 | 3回 | 4回 | 43% | -43.3pips |
何度も言うようだが、今回の結果は、正確な数字にはならない。もし、ドラストFXの正確なパフォーマンスを知りたいときは『MT4裁量トレード練習君プレミアム』で、シグナルの出るポイントやエントリーする位置、決済ポイントなどご自身で検証してほしい。
6.ドラストFXは完璧教材では無い
もしかしたら、これを読んでいるあなたは「ドラストFXを使えば、簡単に勝てるようになるんじゃないか?」と思っていたかもしれない。勿論、そういう期待を抱きたい気持ちも分かる。だが今は恐らく「やっぱりそんな甘くはないんだな」と分かってもらえたはずだ。「知名度や人気があるという教材」という、理由だけでトレードを繰り返しても、夢物語になってしまい、気付いた時には資金が無くなっていたという事にならないようにしよう。
これはドラストFXに限らず全てのシグナル教材に言えることだが、矢印自体には何の意味も無いし、それだけを目安にトレードした所で勝てるようになったりはしない。そもそも矢印だけで勝てるようになるなら、何の努力も無しに勝てるようになるはずだ。
FXという確率世界の中で「矢印だけで勝負できる」ということは不可能になってくる。
ドラストFXに限らず、シグナル教材というのは過去チャートを遡ればどれ程の勝率が出て、パフォーマンスはどの位の数字になるのか検証が可能なので、実際にトレードをする前に十分に調べてからトレードするようにしよう。
7.まとめ
人気のあるFX教材と言っても、それがパフォーマンスに直結するとは限らない。ましてや、1日20回のエントリーチャンスがあって勝率80%というツールがあったら、何としても手に入れるべきだろう。だが現実は、そうもいかないという事だ。
ドラストFXのチャート自体はゲーム性が高く、楽しい雰囲気になっているので、トレードに刺激が欲しい時や、お遊び感覚で使う分には試してみるのも良いだろう。あくまで、結果を考慮しないと割り切る事ができるとしたら。
楽しさを求めるなら、ドラストFXは最高の教材と言えるかもしれない。
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